毎度おなじみの某貸金業者の話です。
何度もこのコーナーで触れたとおり、この貸金業者は争点が殆どないような事件であっても控訴してきます。
手続上、控訴することは何の問題もないとはいうものの、時間稼ぎと言っても過言ではないやり方には辟易します。
今回も第一審ではこちらが完勝した過払訴訟(簡裁管轄)について、いつものように控訴してきました。
控訴状や控訴理由書は定型書面を利用しているようで、毎回殆ど同じ文言が記載されているのですが、今回はいつもと違う文言が記載されていました。
要約すると、以下のとおりです。
・控訴審では司法書士は代理権はない
・被控訴人は、控訴審では弁護士を選任するか、自ら訴訟行為をすることが和解への近道である
確かに、簡易裁判所における訴額140万円を超えない民事事件でしか司法書士には代理権がありません。
一審は簡易裁判所であっても、控訴審以降は地方裁判所や高等裁判所で行われますので、司法書士に代理権はありません。
よって、その主張は正解です。
しかし、その主張は裁判とは何の関係もないと思います。司法書士が地方裁判所管轄の裁判に代理人として出廷しても、裁判所が認めません。
そもそも、そんなアホなことをした司法書士は業界から抹殺されるでしょう。それほどレベルが低い話なのです。
弁護士を選任したり、自分自身で訴訟行為を行うことが早期解手段なるとの主張にも疑問符が付きます。
強気な弁護士さんもいるでしょうし、一切の妥協をしない一般の方もいるでしょう。第一、この貸金業者が提示する和案解は、元本の数割を払うといった内容らしく、それは貸金業者だけに都合が良いものでしかありません。
控訴した(された)としても、複雑な争点がなければ1回の審理で終了しますし、その1回の審理も被控訴人(過払請求者)が出廷する必要もなく終わることが多いので、依頼者が和解を望む場合は別にして、結局は控訴審でも判決を取ることが最も早期に、かつ、満足な結果を得ることができると思います。
ただし、相手にもよりますけどね。
余計な話になりますが、今回の控訴審。一応、僕は傍聴に出向きました。
貸金業者の支配人らしき人物が出廷していたのですが、裁判官の終結しますよとの問いかけに力なく頷くだけ。裁判は数十秒で終了でした。
何のための控訴なんだか・・・。