当事務所のように、債務整理を中心に業務展開している士業にとっては当たり前&今更ながらの話なのですが、以下の最高裁判所判例により、過払の消滅時効起算点=取引が終了した時点となっています。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37212&hanreiKbn=02
(最高裁平成21年1月22日判決)
取引が終了した後10年経過した場合、回収することができたはずの過払金に消滅時効が成立し、貸金業者のの時効援用が認められると、1円も回収することができなくなります。
では、取引が終了した時点って何時やねん?と考えた場合、借金を完済し終わった時や最終取引日とするのが一番簡単かもしれません。
貸金業者の殆どがこのように主張してきます。僕もそう思っていました。
今回、最終取引日が10年以上も前の債務整理の依頼を受けたのですが、再計算すると過払でした。
安易に片付けることができなかった事情があったのと、半分でも返してくれれば円満に解決できることもあり、まずは貸金業者に交渉を持ちかけたのですが、「時効が成立しています!」やら「取引が終了しています!」と、つれない返事。
挙句の果てには、、「裁判でも何でもしてくれ!!」と開き直る始末。
そもそも、契約利息での計算だと債務が残っているのだから、取引は終了していないのだけど・・・。
そんなこともあって上記最高裁判所判例を読み返したのですが、判例には取引終了した時点=完済日・最終取引日であるとは一言も書いてありません。
「過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、過払金返還請求権の行使について特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する。」
と判断されているのです。
要は、今後も借入をする可能性がある以上、「過払金充当合意を含む基本契約」(例:クレジットカード契約)を解約しない限り、お金の貸し借りがなくても時効は進行しないというのが最高裁の判断のようです。
ただ、この考えが裁判所で完全に採用されている訳ではないようなので、慎重に行動する必要があります。
初めて取扱うような事件なので、非常に興味はあるのですが、まずは依頼者の気持ちが最優先。
もし、依頼者が訴えてもいいと仰られたなら、差しさわりのない範囲でこのコーナーで報告させて頂きます。